わが国初の“社会保障憲章・基本法”が完成・出版
学識経験者と労働・社会保障運動の現場の活動家など27人が参加した「福祉国家と基本法研究会」により、わが国初の「社会保障憲章・基本法」が完成し、『新たな福祉国家を展望する―社会保障基本法・社会保障憲章の提言』として旬報社から出版された。このホームページでは7月に紹介していた。
同研究会は2009年9月のシンポジウムを出発に8回の研究会を開催し、9人で起草委員会を構成し、最終的には井上英夫、後藤道夫、渡辺治の3氏によって執筆・編纂された。全体が三部構成からなり、第一部では震災対策の経験の中から「今なぜ憲章、基本法が必要か」と問いかけ、第二部では「社会保障憲章2011」、第二部で「社会保障基本法2011」とその解説をしている。
冒頭に、「社会保障の哲学、原理、原則を提起した」と述べている通り、政府・与党の「社会保障・税一体改革」への対抗軸が鮮明に打ち出されている。その中でも、現物給付の原則、非営利の原則、住宅扶助単給制度の提言、企業の社会保険料負担による財源確保など読んでいるうちに体が震えるほどの興奮を覚える。
1960年代は国際社会保障憲章、それに加えて朝日訴訟の勝訴で社会保障推進運動が高揚したが、いま、天から大震災、地から社会保障・税一体改革という難関に直面しているが、時宜を得て完結した「社会保障憲章・基本法」を弓手に、朝日訴訟の時代のような社会保障運動を巻き起こし、震災からの復興・元気な日本を目指したい。(A5判238頁、本体1,500円+税)