■衆院厚生労働委員会で「参考人」として意見陳述
5月31日の衆院厚生労働委員会に高橋千鶴子委員(日本共産党)の紹介で参考人として出席、生活扶助基準の引き下げ、申請手続きの厳格化に対し、NPO法人朝日訴訟の会理事として意見陳述、質疑に答えました。
意見陳述(要旨)
私は、貧しさゆえに進学できず、通信教育で高校を卒業し、生活保護の医療扶助で結核療養しました。その体験から憲法25条が定める生存権・生活保護基準を争った朝日訴訟の運動に参加し、原告の朝日茂さんが息を引き取る1時間前に夫婦養子縁組して裁判を承継しました。
保護基準は朝日訴訟の東京地裁勝訴判決の翌1961年から引き上げられ、62年の社会保障制度審議会勧告で「一般国民の生活向上に比例して向上する」とされ、23年連続して引き上げられました。しかし、84年から所得の一番低い層に合わせる「水準均衡方式」に変えられ、バブル景気の下で置き去りにされた低所得者との「均衡」が行われ、格差と貧困が拡大しました。その典型が片親世帯の相対的貧困率で、OECD(経済協力開発機構)の調査では、スカンジナビア諸国の数%に対し、日本は約6割、30か国中最下位という驚くべき状態です。生活保護の捕捉率でみると諸外国が9割台のところ、わが国は厚労省調査でも32%で、残る7割は預貯金もなく即刻保護されなければならない人たちです。こんなに格差と貧困が拡大した状態にあるとき、保護基準の引き下げは絶対に行なってはなりません。
加えて申請手続きの「厳格化」が行われますが、保護基準で垣根を高くして寄せ付けず、かろうじてたどりついた人には門戸を狭める「二重の締め付け」です。修正し、ただし書きを設けても本則は変わらず、「特別の事情」も判断するのは行政サイドであり、本質はいささかも変わりません。これまで違法とされてきた「水際作戦」を合法化・法制化するものです。
H25.05.31 衆議院厚生労働委員会 朝日健二(参考人) - YouTube