NPO(特定非営利活動法人) 朝日訴訟の会


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老齢加算廃止は「違法」 生存権権裁判で勝訴判決

 全国8ヶ所の裁判所でたたかわれている生存権裁判で、昨日(6/14)、福岡高等裁判所で初の勝利を勝ちとりました。 「生存権裁判を支援する全国連絡会」ほか2団体が発表した声明を次に転載いたします。

「 本日、北九州市内在住の74歳~92歳の生活保護受給者39名が、北九州市を被告として、 2004年4月から2006年4月にかけて行われた老齢加算の段階的廃止を内容とする保護変更決定の取消を求めた裁判について、 福岡高等裁判所第1民事部は、被告の
決定の違法性を認め、保護変更決定を取消す判決を言い渡した。
 老齢加算の段階的廃止をめぐっては、全国8カ所の裁判所(4地裁、3高裁、 1最高裁)において約100名の原告により裁判が闘われているが、本判決は初めての勝訴判決である。
 老齢加算制度とは、高齢者に特有の生活需要を満たすために、原則70歳以上の生活保護受給者について、 一定額の保護費を加算支給する制度であり、1960(昭和35)年の創設以来、40年以上にわたり維持されてきたものである。
 しかし、国は、老齢加算の廃止を決定し、2004(平成16)年度から老齢加算を段階的に削減し、 2006年(平成18)年度からはこれを全廃した。
 老齢加算の廃止は、「財政問題の解決」のための社会保障費抑制策の一環として行われたものであり、高齢者にとっての 「健康で文化的な最低限度の生活」についての実質的な検証をおろそかにしたまま強行されたものである。
 今、格差と貧困が広がる中、最後のセーフティーネットとして生活保護制度が果たす役割の重要性については論を侯たない。 改正最低賃金法には「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と明記されるなど、生活保護制度は他の諸制度、諸施策と連動しており、 生活保護基準の切り下げは、生活保護受給者のみならず国民生活全般に影響を及ぼすものである。よって本件訴訟は、 国民の生存権を保障する上で、重要な意義を有するものであ
る。
 本日言い渡された本判決は、専門委員会での議論など廃止に至る経過を詳細に検討した上で、 高齢者世帯の最低生活水準が維持されることを求めた中間とりまとめの但書きや、 同じく中間とりまとめが求めた激変緩和措置を十分検討することなく行われた本件老齢加算の減額廃止は、 社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものであることを明快に指摘し、老齢加算減額廃止が生活保護法56条に違反し違法であることを認めた。
 我々、原告団及び弁護団は、裁判所が、国の老齢加算減額廃止に至る決定過程の杜撰さを断罪し、 その違法性を明確に認定したことを高く評価するものである。
 被告及び政府は、本判決を厳粛に受け止めて、その誤りを率直に認めるべきである。
 我々、原告団及び弁護団は、被告に対しては、いたずらに上告せず本判決に従うことを、 政府に対しては老齢加算制度を元に復するための措置を速やかにとることを強く要求する。       以上」

 福岡生存権裁判原告団

 福岡生存権裁判弁護団

 全国生存権裁判を支援する全国連絡会

川谷宗夫
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 朝日訴訟一審勝訴50年を迎えた今年(2010年)、生活保護基準を争う生存権裁判で朝日訴訟以来2度目となる勝訴判決を勝ち取ったことは、朝日訴訟を闘ってきたものにとって感慨無量です。しかも、朝日訴訟一審勝訴の1960年は、連続する社会保障予算大削減に反対する運動、日米安保条約反対運動で日本中が沸きかえっていた年でした。今回の福岡高裁判決はどうでしょう。小泉構造改革による社会保障の連続する構造的改革に対する国民の反撃、例えば後期高齢者医療制度反対運動に代表される運動の高揚、そして2009年8月30日のあの「一票革命」(東京新聞)の中で判決は出されました。いずれも日本国民の偉大さと示すとともに、司法の場にいまもなお憲法の番人が厳然としていることを示しました。いま、日本国民は、朝日訴訟の一審勝訴以降のような明るい展望の拓ける場に立っているのでしょうか。

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