朝日訴訟一審判決を引用し、保護基準引き下げ反対の国会質問
わが国の公的扶助史上初めて、生活扶助基準本体の引き下げが行われようとしていますが、2007年12月12日の衆議院厚生労働委員会で朝日訴訟を引用した質疑が行われました。高橋千鶴子議員(共産)が質問しました。
高橋議員は、 厚生労働省がその答弁の中で朝日訴訟を引用したことに対し、「朝日訴訟は、結核患者だった朝日茂さんが、お兄さんからの仕送りを国庫へ取り上げられたことに端を発し、憲法25条そのものを問いただした闘いとして、人間裁判、人権裁判として今に生きている裁判であります。ここでの教訓は.人は単にかろうじて生物としての生存を維持できる程度のものであろうはずはないということを言っていること。あるいは、最低限度の生活水準を判定するに当たって注意すべきことは、現に最低所得層、例えば低賃金の日雇い労働者や零細農漁業者、いわゆるボーダーラインにある人々が現に維持している生活水準をもって直ちに健康で文化的な生活水準に当たると解してはならないということ。このように低い人と比べて、それでいいのだと言ってはならないということを指摘し、予算の有無によって決定されるものではないとしています。このような教訓を生かしているのでしょうか」と大臣に迫りました。
舛添厚生労働大臣は「政府・与党内できちんと議論をした上で結論を出したい。そういう過程におきましても、高橋委員のご意見も大変貴重な意見として賜った上で、そういう意見も国会の中にあるんだ。それを念頭に置いた上で対応してまいりたい」と答弁。
高橋議員は、「勤労する方々にとっても生活扶助基準が重要だということを示したのが朝日訴訟判決だった。一九六二年の社会保障制度審議会の勧告にも反映をさせた。そこをしっかり受けとめていただきたい」と念を押しました。