NPO(特定非営利活動法人) 朝日訴訟の会


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高齢者単身の最低生計費は105,700円、生活保護はこれを3割下回る

首都圏の高齢単身世帯に保障されるべき生活保護費相当の生計費は105,800円(住居費を含め157,800円)で、現行の生活扶助基準はこれを約3割下回っている―― 金澤誠一・仏教大教授の指導・監修の下に首都圏4地方労連が生計費調査を行い、試算した。20081011日、東京・亀戸で開催された「東京生存権裁判学習決起集会」で伊藤圭一・ 全労連調査局長が報告した。

生計費調査は高齢単身世帯モデルとして、東京・ 練馬区在住の75歳の女性を想定。基本的な健康・生命を維持するための「生活の質」 を確保する考え方で行われた。

生計費の算定はマーケットバスケット方式(全物量積み上げ方式)を採用。生活様式、 慣習、社会活動を、「持ち物財調査」や「生活実態調査」「価格調査」で把握した。例えば、家具、身の回り用品などは「持ち物財調査」 に基づき、原則7割以上の保有率のものを積み上げて算定した。購入先は生活実態調査に基づき下着類は大型スーパー、 電化製品は大型電気店を想定して「価格調査」を実施。外出用品目は「人前に出て恥をかかないように」標準価格とし、 それ以外は最低価格で計算している。

 調査結果から推計した最低生計費は月額180,990円、税込みで206,189円、年額2,474,268円となった。これから税金、社会保険料、NHK受信料、 医療扶助相当額を差し引いた生活保護費相当月額は157,814円。これから住居費52,083円を除く生活扶助基準相当額は105,731円となった。

一方、 生活保護費は130,322円、住宅扶助特別基準53,700円を除くと76,622円で最低生計費の72.5%、廃止された老齢加算17,930円が全額加算されたとしても94,552円で、最低生計費に満たないという結果になった。

伊藤さんは、 「あってはならない貧困」があるのに、生活保護をそれにあわせて引き下げる。 保護を受けるべき人が受けられない漏給の手落ちを反省するどころか、「貧困の連鎖的拡大」が進められようとしていると指摘。 「老齢加算の廃止は行ってはならない。貧困の広がりを理由に、生活の質・中身を見ずに生活保護を改悪することを許してはならない」 とまとめた。

 

朝日健二
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