NPO(特定非営利活動法人) 朝日訴訟の会


朝日訴訟の会とは


総選挙結果について-理事長談話

 今回の衆議院選挙での自民党の惨敗は、民主主義という点で、大いに歓迎すべき結果だと思います。 選挙の敗北が歴然としていたにもかかわらず、麻生総理は、「解散は自分が決める」とは言いましたが、「選挙はしない」とはいいませんでした。 戦前の日本であれば、そうしたクーデタの危険さえあったと、わたしは思っています。 その意味で日本の議会制度=民主主義はかなりの深度で定着したといえると思います。今回の結果を歓迎する理由の第1点です。

 第2点はいうまでもありません。自民党政府は、最近の10年間、構造改革の名の下に社会保障に対する大ナタを連続して振るい、 母子加算や老齢加算の廃止など保護基準にまで手をつけるに至っていました。国民的大訴訟・ 朝日訴訟が勝ち取った生存権の内実を空洞化させる許し難い暴挙でした。

 今回の自民党惨敗は、そうした自民党政治への国民の審判です。政治の結果が、 国民の手によって審判されるのが民主政治の基本であるとするならば、今回の選挙結果は、まさしく国民の判断の総結集だといえるでしょう。 歓迎の第2点です。

 ただし、今回の結果をすべて手放しで喜ぶわけにもいかないと思っています。自民党に代わって大躍進を遂げた民主党ですが、 そのマニフェストは社会保障の重視を謳っており、それ自体は歓迎できるのですが、それがどう具体化されていくかについては予断を許しません。

 が、もっと大きな問題点は、その日米関係に対する態度や憲法9条に対する政治姿勢です。今回の選挙では、とくに9条問題は、 周到に表面から外されていましたが、党内には、強い改憲衝動が存在しています。 それがいつどのような形で現れるかわたしたちは目を離すことはできません。「大砲かバターか」といわれるように、生存権(25条) 保障は戦争放棄(9条)と表裏一体の関係にあります。

 私たちは、今回の選挙結果を歓迎するとともに、新政権が憲法の平和主義への挑戦に向かわないよう注視し、 もし万一そのような事態があらわれるなら、ただちに反撃に転じることができるよう、内側に力を蓄える努力を今すぐ開始したいと思っています。

 

2009年9月7日

  NPO法人朝日訴訟の会

      理事長  岩間 一雄

川谷宗夫
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 半世紀の暗雲晴れる
 自民党結党は1955年。その翌年に朝日茂さんの生活扶助が打ち切られたのです。重症結核とたたかいながら裁判を起こし、東京地裁で勝訴した時も、自民党・中山マサ厚相の「ツルの一声」(当時の厚生省幹部の説明)によって控訴されました。さらに、最高裁で朝日側が敗訴した時は、「10年間の暗雲が晴れた」(同党政策月報1967年7月号)と、国民の気持ちをさかなでしてはばかりませんでした。その後も自民党は第一党として政権の座に居座りつづけ、最近の10年間は、社会保障構造改革と称し連続して大ナタを振るい、朝日訴訟とその後の国民の長年の努力の成果である保護基準にまで手をつけるにいたりました。
 しかし、先の「バカタロウ解散」(「週刊文春」7月23日号)による第45回衆院選で自民党は史上空前の大敗を喫し、政権の座から転落させられました。朝日訴訟をたたかった国民の側からみれば、「半世紀の暗雲が晴れた」という思いです。朝日茂さんも草葉の陰で、はじめて哄笑できたにちがいありません。
 朝日茂さんの養子になってまで争訟運動に参加した私の眼から見れば、総選挙後の情勢は、1960年の朝日訴訟一審勝訴後のそれにすぐるとも劣らぬほど晴れやかなものに写ります。長年にわたって虐げられてきた国民は明るさと自信を取り戻しており、かつて60年代から70年にかけて社会保障を充実させたように、いま再び社会保障推進の大きな国民運動を巻き起こす秋だと思います。

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